1
00:00:43,877 --> 00:00:45,837
“愛する人たちへ〟

2
00:00:45,963 --> 00:00:49,007
“このタイムカプセルを
見つけたら——〟

3
00:00:49,132 --> 00:00:50,759
“再生してほしい〟

4
00:01:22,249 --> 00:01:23,375
やあ

5
00:01:25,502 --> 00:01:26,503
やあ

6
00:01:28,297 --> 00:01:29,298
やあ

7
00:01:33,719 --> 00:01:35,887
君たちに届いてほしい

8
00:01:39,641 --> 00:01:43,729
私と君たちは　　　　
違う時代を生きている

9
00:01:50,944 --> 00:01:53,405
氷河は送り届けられない

10
00:01:54,614 --> 00:01:56,992
だから せめてこれを

11
00:02:03,248 --> 00:02:10,213
{\an8}タイム・アンド・
ウォーター：
氷河と共に生きる

12
00:02:52,089 --> 00:02:55,884
アマゾンのヘビの映像から
始めよう

13
00:03:01,181 --> 00:03:05,936
ボア･コンストリクターは
叔父のジョンのペットだ

14
00:03:07,646 --> 00:03:10,816
15年後 叔父は私を 　
ベネズエラに招待した

15
00:03:10,941 --> 00:03:14,778
オオアナコンダの交尾習性を
調査するためだ

16
00:03:17,364 --> 00:03:19,449
ここにいるはずだったが——

17
00:03:20,617 --> 00:03:24,329
私自身の交尾習性のため
断念した

18
00:03:27,416 --> 00:03:30,585
{\an8}アイスランドの
自分の巣にこもり——

19
00:03:30,794 --> 00:03:33,505
{\an8}詩とＳＦ小説を
書いていた

20
00:03:33,839 --> 00:03:36,007
{\an8}〈アンドリ･
マグナソンの——〉

21
00:03:36,133 --> 00:03:40,470
〈「青い惑星のはなし」が 
今 注目を集めています〉

22
00:03:40,971 --> 00:03:45,976
〈児童文学でありながら
強いメッセージ性がある〉

23
00:03:48,228 --> 00:03:49,354
〈フルダ〉

24
00:03:50,564 --> 00:03:52,149
〈そっちは氷舌(ひょうぜつ)だ〉

25
00:03:53,024 --> 00:03:54,317
〈おっと〉

26
00:03:55,235 --> 00:03:57,195
〈氷河が見える〉

27
00:03:59,406 --> 00:04:00,615
〈あれ？〉

28
00:04:02,159 --> 00:04:07,456
まずは私が子供たちに語った
始まりの物語からだ

29
00:04:09,916 --> 00:04:11,918
我々の住む世界のね

30
00:04:19,551 --> 00:04:22,512
最初に無があった

31
00:04:29,561 --> 00:04:33,231
そして火と氷が衝突した

32
00:04:36,985 --> 00:04:43,366
混沌(こんとん)から氷霜で できた牝牛
アウズフムラが生まれた

33
00:04:48,580 --> 00:04:51,208
牝牛の体から　　
氷河が生まれ——

34
00:04:54,252 --> 00:04:56,922
山と谷を形作った

35
00:05:02,969 --> 00:05:07,307
牝牛の乳頭から乳の川が流れ
世界を養った

36
00:05:12,395 --> 00:05:15,899
牝牛の氷が　　　　　　
アイスランドになり——

37
00:05:16,441 --> 00:05:19,152
そこが　　　　　　　　
我々の住む世界になった

38
00:05:59,109 --> 00:06:03,113
我々は1000年間　　
氷と共に生きてきた

39
00:06:09,786 --> 00:06:11,079
〈笑って〉

40
00:06:14,291 --> 00:06:17,961
〈“イスグランド〟？
これでいいの？〉

41
00:06:18,086 --> 00:06:18,670
〈うん〉

42
00:06:18,795 --> 00:06:20,005
〈そうか〉

43
00:06:20,589 --> 00:06:21,756
〈イスグランド〉

44
00:06:23,258 --> 00:06:25,135
それは始まりにすぎない

45
00:06:26,428 --> 00:06:28,597
語るべき物語は多い

46
00:06:36,563 --> 00:06:37,898
〈オーロラを撮ろう〉

47
00:06:38,565 --> 00:06:39,774
〈すごい〉

48
00:06:42,110 --> 00:06:43,820
〈見て　動いてるよ〉

49
00:06:45,780 --> 00:06:48,825
〈消えた
どうなってるんだ？〉

50
00:06:48,950 --> 00:06:49,743
〈こっち〉

51
00:07:03,506 --> 00:07:06,801
これを見てる君は何歳かな？

52
00:07:10,263 --> 00:07:12,223
私は53歳だ

53
00:07:12,349 --> 00:07:16,227
2026年から語りかけている

54
00:07:20,148 --> 00:07:22,609
これが今のアイスランド

55
00:07:27,364 --> 00:07:29,532
〈なんて美しいんだ〉

56
00:07:30,116 --> 00:07:31,576
〈どうだい？〉

57
00:07:31,743 --> 00:07:32,827
〈すごい〉

58
00:07:41,002 --> 00:07:42,879
〈美しい道だ〉

59
00:07:49,010 --> 00:07:49,886
〈味方？〉

60
00:07:50,011 --> 00:07:50,929
〈ああ〉

61
00:07:59,270 --> 00:08:03,566
私を育てた人々が　　　　
故郷への愛を育んでくれた

62
00:08:05,652 --> 00:08:07,153
私の両親

63
00:08:08,780 --> 00:08:09,948
私の祖父母

64
00:08:14,953 --> 00:08:17,956
“最初〟と“最後〟に
縁のある家族だ

65
00:08:19,666 --> 00:08:23,294
{\an8}祖父のヨウンは
この農場で生まれた——

66
00:08:19,666 --> 00:08:24,879
ヨウンおじいちゃん

67
00:08:23,461 --> 00:08:24,879
{\an8}最後の１人だ

68
00:08:26,923 --> 00:08:29,259
ディーサ
おばあちゃん

69
00:08:26,923 --> 00:08:30,510
{\an8}祖母のディーサは
いつも最初に笑う人だ

70
00:08:34,681 --> 00:08:35,724
{\an8}フルダは——

71
00:08:34,681 --> 00:08:38,601
フルダおばあちゃん

72
00:08:37,016 --> 00:08:40,145
{\an8}グライダーを操縦した
国内で最初の女性だ

73
00:08:42,814 --> 00:08:43,981
アルトニは——

74
00:08:43,982 --> 00:08:47,986
{\an8}アルトニおじいちゃん

75
00:08:45,150 --> 00:08:47,986
最初に氷河を探検した１人だ

76
00:08:59,122 --> 00:09:02,751
私は別れを告げる　
最初の人間になった

77
00:09:04,044 --> 00:09:06,713
永遠に存在すると
思っていたものに

78
00:10:18,618 --> 00:10:20,745
今は2019年

79
00:10:21,121 --> 00:10:24,916
末娘のフルダの
11歳の誕生日だ

80
00:10:31,589 --> 00:10:35,969
同じ名前の祖母フルダは
まだ存命だ

81
00:10:37,637 --> 00:10:39,764
〈フルダの名に恥じないね〉

82
00:10:41,558 --> 00:10:43,560
〈同じフルダだもの〉

83
00:10:56,030 --> 00:11:01,703
祖父母のフルダとアルトニは
結婚して60年が経った

84
00:11:05,331 --> 00:11:10,628
今 ２人が愛したものが
死にかけている

85
00:11:11,337 --> 00:11:14,132
“エイヤフィヤトラ
ヨークトル氷河〟

86
00:11:14,257 --> 00:11:17,343
“ラウングヨークトル氷河
ホフスヨークトル氷河〟

87
00:11:17,468 --> 00:11:21,472
“ヴァトナヨークトル氷河〟

88
00:11:21,598 --> 00:11:24,559
“オークヨークトル氷河〟

89
00:11:24,684 --> 00:11:29,939
〈オークヨークトル氷河は
気候変動が原因で——〉

90
00:11:30,064 --> 00:11:31,816
〈死ぬことになります〉

91
00:11:31,941 --> 00:11:36,279
〈葬儀は８月に　　　　
執り行われますが——〉

92
00:11:36,404 --> 00:11:39,032
〈氷河の葬儀は世界初です〉

93
00:11:41,826 --> 00:11:45,038
氷河の葬儀なんて
現実とは思えない

94
00:11:47,081 --> 00:11:49,792
故郷が手から　　　
こぼれていくようだ

95
00:11:51,961 --> 00:11:56,507
幼い頃から 祖父母に 　　
氷河の話を聞かされてきた

96
00:11:58,593 --> 00:12:02,013
それが今　　　　　　　
新たな意味を帯びている

97
00:12:12,523 --> 00:12:15,985
氷河の物語を　　　
１つの形にして——

98
00:12:16,110 --> 00:12:19,072
未来に役立てたいと思った

99
00:12:26,913 --> 00:12:28,539
最初の物語は——

100
00:12:29,415 --> 00:12:33,461
祖父母の 　　　　　
氷上での なれそめだ

101
00:12:40,760 --> 00:12:42,804
彼らが撮った映像だ

102
00:12:51,271 --> 00:12:55,608
これは1956年の　　
新婚旅行の時の写真

103
00:12:57,944 --> 00:13:00,196
{\an8}これが２００４年の
２人だ

104
00:13:01,030 --> 00:13:02,615
2010年

105
00:13:04,367 --> 00:13:06,369
そして2017年

106
00:13:10,915 --> 00:13:16,754
〈若い頃から とにかく
山に行くのが好きだった〉

107
00:13:20,049 --> 00:13:22,844
〈春には
不思議なことに——〉

108
00:13:23,553 --> 00:13:26,222
〈氷河の匂いを感じるの〉

109
00:13:30,476 --> 00:13:31,936
〈氷河の匂いって？〉

110
00:13:32,770 --> 00:13:34,230
〈言い表せない〉

111
00:13:34,355 --> 00:13:36,566
〈特別なものだ〉

112
00:13:37,775 --> 00:13:42,113
〈とてもさわやかな匂いだ〉

113
00:13:44,741 --> 00:13:45,950
〈出会いは？〉

114
00:13:46,826 --> 00:13:49,120
〈登山愛好会の集まりよ〉

115
00:13:51,789 --> 00:13:53,791
〈ひと目ぼれだった〉

116
00:13:56,919 --> 00:13:59,255
〈母によく言ってた〉

117
00:13:59,464 --> 00:14:03,092
〈“男に生まれてたら
いろいろできたのに〟〉

118
00:14:04,510 --> 00:14:05,928
〈冒険好きで——〉

119
00:14:08,347 --> 00:14:10,683
〈活発な子だったの〉

120
00:14:13,770 --> 00:14:16,272
〈ヴァトナヨークトル氷河に
行くと——〉

121
00:14:16,397 --> 00:14:18,691
〈アルトニが言った時〉

122
00:14:19,025 --> 00:14:21,861
〈“私も連れてって〟と
頼んだ〉

123
00:14:23,071 --> 00:14:25,198
〈地元のスキーヤーに
言われた〉

124
00:14:25,323 --> 00:14:30,036
〈ヴァトナヨークトル氷河に
女性を連れてくなんて〉

125
00:14:30,328 --> 00:14:33,081
〈正気の沙汰じゃないとね〉

126
00:14:40,713 --> 00:14:43,424
〈ヴァトナ　　　　　　　
ヨークトル氷河は——〉

127
00:14:43,549 --> 00:14:47,929
〈アイスランドの国土の
12分の１を占めます〉

128
00:14:48,179 --> 00:14:54,268
〈装備をそろえた経験豊富な
登山家でなければ——〉

129
00:14:54,393 --> 00:14:57,188
〈氷河を旅するのは
危険です〉

130
00:15:06,447 --> 00:15:09,617
〈１週間ずっと氷河にいた〉

131
00:15:11,410 --> 00:15:13,162
〈それ以来ずっと一緒だ〉

132
00:15:19,961 --> 00:15:22,130
〈金曜に結婚して——〉

133
00:15:22,255 --> 00:15:27,552
〈次の朝早く
３週間の旅行に出発した〉

134
00:15:42,233 --> 00:15:46,237
〈その後も
しばしば氷河を訪れた〉

135
00:15:46,779 --> 00:15:49,615
〈アイスランド氷河研究会の
人たちとね〉

136
00:15:53,369 --> 00:15:55,413
〈調査の始まりの映像だ〉

137
00:16:00,918 --> 00:16:04,964
〈今も使われている
測定器具だ〉

138
00:16:14,932 --> 00:16:15,933
〈寒かった？〉

139
00:16:17,226 --> 00:16:19,270
〈寒くはなかった〉

140
00:16:19,770 --> 00:16:21,230
〈新婚だもの〉

141
00:16:25,693 --> 00:16:27,862
〈氷河が第二の故郷？〉

142
00:16:28,779 --> 00:16:29,906
〈そうね〉

143
00:16:35,786 --> 00:16:39,874
〈氷河の上からの景色は
別世界よ〉

144
00:16:43,336 --> 00:16:45,254
〈すべてが真っ白〉

145
00:16:49,175 --> 00:16:50,968
〈無限に続くの〉

146
00:17:07,276 --> 00:17:08,861
〈今 何歳？〉

147
00:17:10,988 --> 00:17:12,740
〈覚えてないよ〉

148
00:17:12,907 --> 00:17:14,742
〈あなたは95歳になる〉

149
00:17:14,867 --> 00:17:19,038
〈俺の年齢を
数えてくれてるのか？〉

150
00:17:19,163 --> 00:17:21,415
〈ちゃんと数えてる〉

151
00:17:22,833 --> 00:17:25,294
〈君は いつもそうだ〉

152
00:17:25,795 --> 00:17:29,423
〈君がいなければ
生きていけない〉

153
00:17:29,549 --> 00:17:33,636
〈彼女なしでは まともに
生きられなかった〉

154
00:17:41,102 --> 00:17:44,897
祖父母と同じくらい　　
氷河を知りたいと思った

155
00:17:49,777 --> 00:17:51,153
今でもそうだ

156
00:19:29,585 --> 00:19:32,171
氷河が立てる音だ

157
00:19:33,547 --> 00:19:36,801
目には見えないが動いている

158
00:20:00,408 --> 00:20:04,495
何年も雪が積もり続けると
氷は かさを増し——

159
00:20:05,413 --> 00:20:09,709
自らの重さで　　
海へと流れていく

160
00:20:14,296 --> 00:20:17,216
そうやって動くのが氷河だ

161
00:20:18,217 --> 00:20:21,178
氷河の定義とは生きた氷だ

162
00:20:39,447 --> 00:20:43,325
氷河の一生は　　　　
地質学的な時間で——

163
00:20:43,909 --> 00:20:48,038
月や年でなく　　　　　　
世紀や千年紀という単位だ

164
00:20:54,587 --> 00:20:57,381
年を取った氷は青い

165
00:21:00,217 --> 00:21:03,763
青が深いほど 古い氷なのだ

166
00:21:15,357 --> 00:21:18,569
雪の降る量が　　　　　　
溶ける量を上回る限り——

167
00:21:19,320 --> 00:21:21,447
氷河は流れ続ける

168
00:21:28,871 --> 00:21:31,874
このサイクルが　　
大地に生命を与える

169
00:21:54,897 --> 00:21:58,150
祖父母は　　　　　　　　
氷河が永遠だと思っていた

170
00:22:02,988 --> 00:22:04,949
私もそうだ

171
00:22:14,333 --> 00:22:19,046
だが2014年 あるニュースが
飛び込んできた

172
00:22:21,632 --> 00:22:24,343
〈アイスランド西部の——〉

173
00:22:24,510 --> 00:22:28,222
〈オークヨークトル氷河は
国内最小の氷河でした〉

174
00:22:29,265 --> 00:22:32,601
〈しかし もはや 　　　
氷河ではありません〉

175
00:22:32,726 --> 00:22:34,770
〈氷河学者の　　　　　　
シグルズソン氏が——〉

176
00:22:34,937 --> 00:22:39,400
〈死亡宣告をするため　
現地に向かいました〉

177
00:22:41,735 --> 00:22:45,281
〈オークヨークトル氷河が
消滅するのは——〉

178
00:22:45,406 --> 00:22:47,449
〈夏の酷暑が原因だ〉

179
00:22:48,450 --> 00:22:52,162
〈死亡時の年齢は
およそ700歳〉

180
00:22:52,288 --> 00:22:54,790
〈氷河としては赤ん坊だ〉

181
00:22:55,749 --> 00:23:00,713
〈1900年前後には
広さが15平方キロあった〉

182
00:23:01,255 --> 00:23:03,716
〈しかしここ15年で——〉

183
00:23:03,841 --> 00:23:08,178
〈私の想像以上に
小さくなってしまった〉

184
00:23:09,388 --> 00:23:13,559
〈急速に縮んでいったのだ〉

185
00:23:14,935 --> 00:23:19,565
〈もはや動くことのない
“死んだ氷〟になった〉

186
00:23:33,746 --> 00:23:35,956
氷河の死は 君たちには——

187
00:23:36,081 --> 00:23:39,335
どんな歴史的意味を
持つのだろう？

188
00:23:42,630 --> 00:23:45,925
私には地平線が　　　
崩れ落ちた瞬間だった

189
00:23:48,928 --> 00:23:52,765
恐れていた未来が
すぐそこにある

190
00:23:54,183 --> 00:23:55,601
目の前なんだ

191
00:24:04,318 --> 00:24:06,236
時間がない

192
00:24:14,578 --> 00:24:18,999
そう感じた時　　　　　　
私はカメラを手にしていた

193
00:24:19,500 --> 00:24:24,213
そして撮り始めたのが
このタイムカプセルだ

194
00:24:32,638 --> 00:24:35,933
1997年　　　　　　　　　
ガールフレンドのマッガだ

195
00:24:36,058 --> 00:24:39,603
最初の子供 フリーヌルを
産んだばかりだ

196
00:24:40,854 --> 00:24:44,692
〈フリーヌルが初めて
ママとお風呂に入る〉

197
00:24:45,776 --> 00:24:47,194
〈ステキだよ〉

198
00:24:53,283 --> 00:24:58,580
同じ頃 祖父のヨウンに
死期が迫っており——

199
00:25:00,249 --> 00:25:03,127
彼の海辺の家を訪ねた

200
00:25:06,922 --> 00:25:11,468
〈４世代が寝そべってる
王位継承者たちだ〉

201
00:25:12,511 --> 00:25:16,974
〈最年長者とその長男
その長男とその長男〉

202
00:25:17,099 --> 00:25:18,684
〈長男チームだ〉

203
00:25:23,731 --> 00:25:25,149
イケてる人だ

204
00:25:28,402 --> 00:25:30,821
まだ さよならは言えない

205
00:25:39,288 --> 00:25:43,375
その夏 私は 　　　　　　　
国立公文書館で仕事に就いた

206
00:25:43,959 --> 00:25:47,755
アイスランドの最古の記録が
保管されている

207
00:25:49,590 --> 00:25:54,636
写本は それぞれ 　　　　　
私を別の時代へと連れていく

208
00:25:55,846 --> 00:25:58,307
「エッダ」は　　　
私を1220年の——

209
00:25:58,724 --> 00:26:03,353
神々と宇宙の神話が　　　　
書かれた時代に連れていった

210
00:26:05,814 --> 00:26:09,485
「植民の書」は874年

211
00:26:09,610 --> 00:26:12,196
アイスランドに　　
人が定住した時代へ

212
00:26:14,907 --> 00:26:19,661
1862年のエルフについて
書かれた民話では——

213
00:26:20,370 --> 00:26:25,375
エルフは羊飼いを　　
岩の中へと連れ去った

214
00:26:30,631 --> 00:26:35,552
私は1918年生まれの女性の
音声記録を見つけ出した

215
00:26:36,053 --> 00:26:41,809
“リームル〟と呼ばれる
形式の詩を歌っている

216
00:26:42,226 --> 00:26:44,436
韻文叙事詩のことだ

217
00:27:30,691 --> 00:27:35,112
私はこの歌を　　　　　　　
テレビで紹介することにした

218
00:27:35,737 --> 00:27:38,031
〈こんな歌は初めて聴いた〉

219
00:27:38,490 --> 00:27:40,701
〈注意深く聴くと——〉

220
00:27:41,118 --> 00:27:45,205
〈悲しみを歌った
詩であることに気づいた〉

221
00:27:45,497 --> 00:27:50,002
〈古き時代の終焉(しゅうえん)が
歌われていたんだ〉

222
00:27:50,252 --> 00:27:56,091
〈絶え間ない繰り返しと
リズムを聴いてるうちに〉

223
00:27:56,550 --> 00:27:58,552
〈すっかり魅了された〉

224
00:28:00,971 --> 00:28:03,849
息子がむずかっても——

225
00:28:04,725 --> 00:28:07,978
この歌を聴かせると
落ち着いた

226
00:28:09,229 --> 00:28:12,065
息子を寝かしつける
老女の歌声は——

227
00:28:12,190 --> 00:28:16,528
私の失われていた世界を
よみがえらせた

228
00:28:21,074 --> 00:28:23,619
〈何もできないこの子を
撮ってる〉

229
00:28:24,328 --> 00:28:29,333
〈彼がしゃべり始めたら
写真は撮らなくなるはず〉

230
00:28:30,667 --> 00:28:32,419
〈でも映像は残る〉

231
00:28:39,801 --> 00:28:42,971
私はカメラオタクではない

232
00:28:43,555 --> 00:28:46,433
それでも　　　　　　　
祖父のヨウンの姿を——

233
00:28:46,558 --> 00:28:50,020
映像に収めたいと思った

234
00:28:50,812 --> 00:28:53,273
〈アンドリ
ズームレンズは？〉

235
00:28:53,398 --> 00:28:54,441
〈あるよ〉

236
00:28:54,983 --> 00:28:55,609
〈本当に？〉

237
00:28:55,734 --> 00:28:56,735
〈ああ〉

238
00:28:59,655 --> 00:29:03,742
〈過去50年で
一番の思い出は何？〉

239
00:29:03,992 --> 00:29:04,952
〈何だって？〉

240
00:29:07,496 --> 00:29:09,665
〈間違うのは楽しい〉

241
00:29:10,499 --> 00:29:12,501
〈間違いが楽しい？〉

242
00:29:13,752 --> 00:29:15,003
〈それが一番だ〉

243
00:29:15,295 --> 00:29:16,713
〈本当に？〉

244
00:29:19,341 --> 00:29:21,343
〈間違えたほうがいい〉

245
00:29:21,468 --> 00:29:22,260
〈そうなの？〉

246
00:29:22,386 --> 00:29:23,553
〈ああ〉

247
00:29:26,139 --> 00:29:30,018
祖父のすべての言葉を
残したかった

248
00:29:32,396 --> 00:29:35,941
そうすれば彼の言葉は
未来へ運ばれ——

249
00:29:36,316 --> 00:29:38,735
再び出会うことができる

250
00:29:39,152 --> 00:29:43,949
〈女性からの愛の告白と
プロポーズとして——〉

251
00:29:44,074 --> 00:29:47,077
〈あんなステキなものは
ない〉

252
00:29:47,202 --> 00:29:50,497
〈君の言葉は
本当に美しかった〉

253
00:29:50,914 --> 00:29:51,832
〈何て言ったの？〉

254
00:29:51,957 --> 00:29:53,583
〈知りたいか？〉

255
00:29:53,709 --> 00:29:55,961
〈ダメよ　内緒よ〉

256
00:30:00,298 --> 00:30:02,551
〈最高のプロポーズだ〉

257
00:30:02,968 --> 00:30:03,969
〈秘密よ〉

258
00:30:04,094 --> 00:30:05,512
〈秘密だ〉

259
00:30:05,637 --> 00:30:08,140
〈アンドリには話そう〉

260
00:30:08,265 --> 00:30:09,307
〈ダメよ〉

261
00:30:21,194 --> 00:30:24,364
この時から　　　　　　
私の愛するすべてを——

262
00:30:24,489 --> 00:30:27,075
撮影することに決めた

263
00:30:33,999 --> 00:30:35,751
〈辺り一面 花だ〉

264
00:30:36,752 --> 00:30:39,046
〈ペートゥルの
体操ショーだ〉

265
00:30:39,963 --> 00:30:42,007
〈ボウシは泳ぐ気だ〉

266
00:30:42,257 --> 00:30:43,675
〈深夜近い〉

267
00:30:45,927 --> 00:30:47,721
〈おばあちゃん〉

268
00:30:47,846 --> 00:30:48,889
〈遊んでる〉

269
00:30:49,014 --> 00:30:50,849
〈きれいなケーキだ〉

270
00:30:50,974 --> 00:30:53,518
〈11時だ
靴飛ばしをやってる〉

271
00:30:57,939 --> 00:30:59,024
〈ステーキだ〉

272
00:30:59,900 --> 00:31:01,026
{\an8}〈マッガ〉

273
00:31:01,485 --> 00:31:02,778
{\an8}〈フリーヌル〉

274
00:31:03,195 --> 00:31:04,279
{\an8}〈今 いくつ？〉

275
00:31:04,404 --> 00:31:05,614
{\an8}〈４歳〉

276
00:31:05,906 --> 00:31:07,032
{\an8}〈今 いくつ？〉

277
00:31:07,157 --> 00:31:08,617
{\an8}〈５歳〉

278
00:31:08,784 --> 00:31:09,659
{\an8}〈６歳〉

279
00:31:10,077 --> 00:31:12,204
{\an8}〈君は６ヵ月になる？〉

280
00:31:12,579 --> 00:31:15,457
〈フルダ･フィリッピア
今日で１歳？〉

281
00:31:15,874 --> 00:31:18,001
〈エリーン　今 いくつ？〉

282
00:31:18,126 --> 00:31:19,294
〈２歳〉

283
00:31:19,836 --> 00:31:22,172
{\an8}〈３歳だよ〉

284
00:31:22,297 --> 00:31:23,715
{\an8}〈跳ねてる〉

285
00:31:23,840 --> 00:31:25,675
{\an8}〈暴れん坊なの〉

286
00:31:28,470 --> 00:31:30,180
{\an8}〈僕はまだ１歳〉

287
00:31:30,305 --> 00:31:31,890
{\an8}〈赤ちゃんだ〉

288
00:31:32,516 --> 00:31:34,559
{\an8}〈マッガ　君は若いね〉

289
00:31:34,893 --> 00:31:36,394
{\an8}〈まだ30歳だ〉

290
00:31:37,229 --> 00:31:38,522
{\an8}〈31歳よ〉

291
00:31:39,147 --> 00:31:40,565
{\an8}〈僕は何歳？〉

292
00:31:42,067 --> 00:31:43,401
{\an8}〈５歳よ〉

293
00:32:24,276 --> 00:32:28,446
祖父のアルトニは　　　　
一族の最初の記録員だった

294
00:32:47,549 --> 00:32:50,594
彼の思い出がのぞける記録だ

295
00:33:06,401 --> 00:33:10,822
それが彼の愛した場所へと
私を導いた

296
00:33:15,285 --> 00:33:17,829
〈氷河で写真を撮った？〉

297
00:33:18,663 --> 00:33:20,165
〈ああ 撮ったよ〉

298
00:33:23,460 --> 00:33:26,713
彼は よく写真を 　　　　
スライドで見せながら——

299
00:33:27,714 --> 00:33:29,633
冒険談を語ってくれた

300
00:33:45,523 --> 00:33:47,984
写真が彼の記憶を呼び覚ます

301
00:33:53,990 --> 00:33:55,283
この写真では——

302
00:33:55,408 --> 00:33:59,621
氷と雲が溶け合う景色の中で
幸せそうなフルダを

303
00:34:04,501 --> 00:34:08,380
この写真では　　　　　　
名前もなかった地のことを

304
00:34:11,758 --> 00:34:14,636
氷河は　　　　　　　　
彼の記憶を惑わせもする

305
00:34:18,181 --> 00:34:21,059
“それが氷河だ〟と彼は言う

306
00:34:21,601 --> 00:34:25,730
“前に通った道だと思っても
突然 目の前に——〟

307
00:34:27,691 --> 00:34:29,109
“クレバスが現れる〟

308
00:34:48,044 --> 00:34:49,296
スライドの中に——

309
00:34:51,298 --> 00:34:55,135
時折 庭のダリアの写真が
入り込む

310
00:35:02,892 --> 00:35:06,855
この写真の光に　　　
彼は平穏を見いだした

311
00:35:09,858 --> 00:35:11,735
何年も経ってから——

312
00:35:11,860 --> 00:35:14,946
私はこの平穏の意味を
理解した

313
00:35:19,075 --> 00:35:20,744
〈最初の記憶は？〉

314
00:35:22,746 --> 00:35:26,625
〈父が溺死した時のことは
よく覚えてる〉

315
00:35:26,750 --> 00:35:30,045
〈おじいちゃんは
何歳だったの？〉

316
00:35:30,170 --> 00:35:31,296
〈12歳だ〉

317
00:35:37,552 --> 00:35:39,095
〈当然ながら——〉

318
00:35:40,180 --> 00:35:42,015
〈ショックを受けた〉

319
00:35:48,021 --> 00:35:54,235
その記憶が彼を海から遠ざけ
山へ向かわせたと思っていた

320
00:36:00,033 --> 00:36:03,745
フルダにとっても　　
氷河は慰めの地だった

321
00:36:06,331 --> 00:36:08,625
〈最初の夫との間に——〉

322
00:36:09,292 --> 00:36:12,504
〈双子を産んだの〉

323
00:36:13,088 --> 00:36:15,382
〈かわいい女の子よ〉

324
00:36:16,216 --> 00:36:19,177
〈その後 夫は
アメリカに渡って——〉

325
00:36:21,054 --> 00:36:26,142
〈アメリカ人女性と出会い
私と別れることにした〉

326
00:36:26,810 --> 00:36:29,062
〈もちろんショックだった〉

327
00:36:35,902 --> 00:36:38,363
彼女に勇気を与えたのは
空と——

328
00:36:40,031 --> 00:36:41,366
氷だった

329
00:37:02,929 --> 00:37:06,683
アルトニに言わせれば
写真も氷河も——

330
00:37:07,475 --> 00:37:10,770
時間の経過を記録するものだ

331
00:37:19,863 --> 00:37:21,823
氷河は火山と共にある

332
00:37:23,032 --> 00:37:25,785
1918年の噴火

333
00:37:28,580 --> 00:37:30,331
1983年にも

334
00:37:33,042 --> 00:37:35,086
2004年

335
00:37:37,714 --> 00:37:39,549
そして2011年

336
00:37:55,106 --> 00:38:00,153
氷に含まれる古代の空気は
過ぎ去った季節を語る

337
00:38:01,571 --> 00:38:02,697
暖かさ

338
00:38:03,782 --> 00:38:05,241
寒さ

339
00:38:06,034 --> 00:38:07,702
雨の量

340
00:38:08,495 --> 00:38:09,913
花粉

341
00:38:10,997 --> 00:38:12,290
汚染物質

342
00:38:16,127 --> 00:38:21,174
祖父母は長い時間の記録に
触れた最初の人々だ

343
00:38:21,674 --> 00:38:25,094
〈氷河の研究に　　　　　
大きな成果が出ました〉

344
00:38:26,971 --> 00:38:31,392
〈氷床コアを
掘り出す作業をしていた〉

345
00:38:34,103 --> 00:38:35,980
〈私は助手だったの〉

346
00:38:36,606 --> 00:38:37,899
〈ほら 私よ〉

347
00:38:38,691 --> 00:38:40,985
〈すばらしい経験だった〉

348
00:38:42,570 --> 00:38:44,739
〈氷床コアには——〉

349
00:38:44,989 --> 00:38:49,536
〈温暖氷河の内部構造に　　
関する貴重な情報と——〉

350
00:38:49,702 --> 00:38:53,873
〈1500年頃までさかのぼる　
気候情報が詰まってます〉

351
00:38:55,959 --> 00:38:58,294
〈あれは特別なものだ〉

352
00:39:06,469 --> 00:39:09,806
氷床コアを手にする時——

353
00:39:10,348 --> 00:39:14,060
それは地球の記憶を
手にしているのだ

354
00:40:09,866 --> 00:40:10,950
〈笑って〉

355
00:40:13,620 --> 00:40:14,787
〈撮影してる〉

356
00:40:15,288 --> 00:40:16,998
〈誕生日おめでとう〉

357
00:40:18,041 --> 00:40:22,295
〈今日は あなたの誕生日〉

358
00:40:22,420 --> 00:40:25,882
〈歌を歌って祝いましょう〉

359
00:40:26,007 --> 00:40:29,677
〈今日という日に——〉

360
00:40:29,802 --> 00:40:33,014
〈あなたは生まれた〉

361
00:40:33,139 --> 00:40:37,185
〈すばらしい日に　　
おめでとう〉

362
00:40:37,310 --> 00:40:40,229
〈大切な人…〉

363
00:40:45,151 --> 00:40:48,237
パーティーのことも
すぐ忘れるだろう

364
00:40:52,158 --> 00:40:54,786
“誕生日だったよ〟と
言ったら——

365
00:40:54,911 --> 00:40:57,705
“それは楽しい　　
私は何歳だ？〟と

366
00:41:03,753 --> 00:41:06,839
〈新婚旅行のことは
覚えてる？〉

367
00:41:07,840 --> 00:41:08,925
〈新婚旅行？〉

368
00:41:09,050 --> 00:41:11,052
〈ヴァトナヨークトル氷河に
行ったろ？〉

369
00:41:11,719 --> 00:41:14,055
〈覚えてないな〉

370
00:41:14,681 --> 00:41:16,641
〈いいのよ　続けて〉

371
00:41:19,060 --> 00:41:21,396
〈どんどん忘れてってる〉

372
00:41:24,649 --> 00:41:28,361
ある日 突然 　　
何かが弾けて——

373
00:41:30,571 --> 00:41:33,074
思い出せなくなったそうだ

374
00:41:57,598 --> 00:41:59,100
〈キスして〉

375
00:42:11,696 --> 00:42:15,033
今の私には　　　　　　
１ヵ月が一瞬で過ぎ去る

376
00:42:17,827 --> 00:42:18,953
〈いけ〉

377
00:42:22,040 --> 00:42:24,792
〈すごい　上手だよ〉

378
00:42:24,959 --> 00:42:27,086
〈どのくらい練習したの？〉

379
00:42:27,211 --> 00:42:28,588
〈15分くらい〉

380
00:42:29,547 --> 00:42:32,550
〈時間は７時　温度計は…〉

381
00:42:32,675 --> 00:42:33,342
〈36度〉

382
00:42:33,468 --> 00:42:35,094
〈36度？〉

383
00:42:35,428 --> 00:42:37,930
〈家の中は きっと50度ね〉

384
00:42:38,473 --> 00:42:39,682
〈別の国だ〉

385
00:42:54,697 --> 00:42:56,824
もっと時間があるかと

386
00:43:06,000 --> 00:43:08,544
アルトニに　　　　　　
いろいろ聞きたいが——

387
00:43:11,005 --> 00:43:13,841
すべてを　　　　　　
知ることはないだろう

388
00:43:25,394 --> 00:43:29,148
〈ヴァトナヨークトル氷河の
下には火山群があります〉

389
00:43:40,451 --> 00:43:44,038
この島は予測不可能だ

390
00:43:45,123 --> 00:43:50,211
いつ火山が噴火し　　　　　
氷河湖決壊洪水が起こるか？

391
00:43:51,087 --> 00:43:54,173
〈氷河が解けた水が　　　
すさまじい勢いで——〉

392
00:43:54,382 --> 00:43:56,592
〈下ってきます〉

393
00:44:01,889 --> 00:44:07,186
我々は自然と闘い　　　　　
それに合わせて暮らしてきた

394
00:44:09,814 --> 00:44:14,193
〈氷河の先端から離れた
巨大な氷塊が——〉

395
00:44:14,318 --> 00:44:16,654
〈陸地に押し出されました〉

396
00:44:20,241 --> 00:44:24,495
〈人間が いかにちっぽけか
思い知らされます〉

397
00:44:36,757 --> 00:44:38,926
自然への畏敬(いけい)の念は——

398
00:44:39,051 --> 00:44:42,263
祖父母の物語にも宿っている

399
00:44:45,558 --> 00:44:50,646
自然は生きていて　　　　　
謎に満ちているという考えが

400
00:44:53,274 --> 00:44:55,443
根づいているんだ

401
00:44:57,778 --> 00:45:02,742
〈景色が変わってしまう前は
ここに岸壁があって——〉

402
00:45:03,201 --> 00:45:06,287
〈エルフを
見たことがあった〉

403
00:45:08,206 --> 00:45:12,084
〈エルフが突然
岸壁に現れて——〉

404
00:45:13,169 --> 00:45:14,212
〈消えたの〉

405
00:45:14,337 --> 00:45:14,921
〈消えた？〉

406
00:45:15,087 --> 00:45:16,088
〈ええ〉

407
00:45:17,965 --> 00:45:19,884
〈“私はエルフの女〟〉

408
00:45:20,927 --> 00:45:24,430
〈“岸壁に
住むものもいれば——〟〉

409
00:45:24,555 --> 00:45:28,226
〈“岩の中で
暮らすものもいる〟〉

410
00:45:29,602 --> 00:45:31,437
{\an8}〈さらに
エルフは続けた〉

411
00:45:33,231 --> 00:45:36,567
{\an8}〈“この姿は私の
すべてではない〟〉

412
00:45:36,692 --> 00:45:40,238
{\an8}〈“完全な姿で
現れるには——〟〉

413
00:45:40,363 --> 00:45:42,406
{\an8}〈“多くのエネルギーが
必要だ〟〉

414
00:45:42,782 --> 00:45:45,201
〈“もっとエネルギーを
使えば——〟〉

415
00:45:45,326 --> 00:45:48,579
〈“あなたに
話しかけられるし——〟〉

416
00:45:48,704 --> 00:45:51,582
〈“影響を
与えることもできる〟〉

417
00:45:51,707 --> 00:45:53,459
〈新しいパンツ どう？〉

418
00:45:57,713 --> 00:45:58,923
{\an8}〈いいね〉

419
00:45:59,048 --> 00:46:00,758
{\an8}〈裾を詰めたの〉

420
00:46:00,883 --> 00:46:01,592
{\an8}〈そうか〉

421
00:46:02,176 --> 00:46:03,636
{\an8}〈長すぎたから〉

422
00:46:04,303 --> 00:46:09,642
{\an8}〈エルフの女の意志には
逆らえない〉

423
00:46:10,101 --> 00:46:12,979
{\an8}〈彼女が
消えることはない〉

424
00:46:13,729 --> 00:46:16,107
{\an8}〈ディーサと
結婚したのも——〉

425
00:46:16,232 --> 00:46:20,027
{\an8}〈エルフの女に
命じられたからだ〉

426
00:46:24,991 --> 00:46:29,120
私の祖父母の世代には
こうした伝承が多い

427
00:46:43,175 --> 00:46:45,094
丘には伝説があり

428
00:46:48,222 --> 00:46:50,266
川には民話があり

429
00:46:59,734 --> 00:47:02,987
氷河には秘密の世界があった

430
00:47:12,204 --> 00:47:16,500
国立公文書館での勤務中に
この記録を見つけた

431
00:47:16,834 --> 00:47:22,089
氷の中の伝説の森について
農民が語ったものだ

432
00:47:23,549 --> 00:47:27,803
〈何百年も前のこと〉

433
00:47:27,928 --> 00:47:31,140
〈カバの木の幹が
見つかった〉

434
00:47:32,016 --> 00:47:35,561
〈氷河のきわの辺りでね〉

435
00:47:37,855 --> 00:47:40,775
〈とても奇妙なことだ〉

436
00:47:40,900 --> 00:47:44,111
〈理解できないが
本当のことさ〉

437
00:47:53,454 --> 00:47:57,249
ヴァトナヨークトル氷河の
ふもとの住民は

438
00:47:57,375 --> 00:47:59,877
氷河から現れる木を
知っていた

439
00:48:01,879 --> 00:48:05,591
ほぼ木がない国で　　
珍しいこの光景は——

440
00:48:06,050 --> 00:48:10,179
氷河の中に森があるとの
うわさを広げた

441
00:48:11,889 --> 00:48:16,769
悪党やトロールが潜む
時が止まった場所だと

442
00:48:20,523 --> 00:48:23,067
だが伝説は真実も含んでいた

443
00:48:24,735 --> 00:48:26,987
西暦900年頃のこと

444
00:48:27,655 --> 00:48:33,244
この地に来た我々の祖先は
生い茂る木々を見て——

445
00:48:34,286 --> 00:48:37,957
ブレイザメルク　　
“広い森〟と名付けた

446
00:48:39,375 --> 00:48:43,796
その後の年月で　　　　
氷舌が山から下りてきて

447
00:48:43,921 --> 00:48:46,924
やがて森を氷で飲み込んだ

448
00:48:53,931 --> 00:48:57,560
2026年現在　　　　　
氷舌はまだそこにある

449
00:48:58,853 --> 00:49:01,397
ブレイザメルクルヨークトル

450
00:49:02,148 --> 00:49:04,275
“広い森の氷河〟だ

451
00:49:06,235 --> 00:49:11,615
アイスランドの創始期とも
つながりを持つ名前だ

452
00:49:58,204 --> 00:50:02,833
〈氷河学者が近年の氷河の
後退に懸念を示します〉

453
00:50:03,667 --> 00:50:05,461
〈アイスランドの氷河が〉

454
00:50:05,586 --> 00:50:08,047
〈200年の内に 　
消失するとも〉

455
00:50:08,172 --> 00:50:13,093
〈こんな恐ろしいニュースは
聞いたことがない〉

456
00:50:13,844 --> 00:50:19,475
〈後退の速度が
驚くほど加速しています〉

457
00:50:20,809 --> 00:50:23,187
〈南極やグリーンランド〉

458
00:50:23,312 --> 00:50:26,941
〈ヒマラヤなど 氷河のある
各地も同じです〉

459
00:50:27,983 --> 00:50:30,152
〈アイスランドの氷河は
1000歳〉

460
00:50:30,277 --> 00:50:37,076
〈つまり毎年５年分ずつ
歴史を失ってる計算です〉

461
00:50:40,246 --> 00:50:43,499
１つの氷河の消失でも悲しい

462
00:50:44,041 --> 00:50:48,003
なのに　　　　　　　
すべて消えると聞いた

463
00:50:52,383 --> 00:50:55,511
もう地質学的な時間軸では
語れない

464
00:50:55,970 --> 00:51:01,308
かつて数百年 何百万年も
かけて起きていた変化が

465
00:51:01,433 --> 00:51:05,938
いまや１人の人間の　
寿命の間に起きている

466
00:51:28,377 --> 00:51:34,300
祖父のアルトニは庭の花の
写真を撮るのが趣味だった

467
00:51:39,096 --> 00:51:42,641
最後まで覚えてたのは
愛妻フルダのこと

468
00:51:50,566 --> 00:51:52,693
〈丸々１箱あるわ〉

469
00:51:57,156 --> 00:51:58,365
〈見せて〉

470
00:51:59,867 --> 00:52:02,369
〈中央高地へ行った時ね〉

471
00:52:02,494 --> 00:52:03,704
〈ああ〉

472
00:52:13,130 --> 00:52:17,092
祖父は足元がおぼつかず
施設に入ることに

473
00:52:19,261 --> 00:52:22,473
ある時 テレビの前で
私に言った

474
00:52:27,603 --> 00:52:31,440
“スライドショーが
高速だ〟と

475
00:52:36,987 --> 00:52:39,490
祖父は少しずつ衰え…

476
00:53:10,437 --> 00:53:12,981
そして 亡くなった

477
00:53:24,118 --> 00:53:25,786
〈名前を〉

478
00:53:25,911 --> 00:53:26,954
〈アルトニ･
キャルタンソン〉

479
00:53:28,789 --> 00:53:30,416
{\an8}〈生年月日は？〉

480
00:53:30,541 --> 00:53:33,460
{\an8}〈１９２２年11月26日〉

481
00:53:34,628 --> 00:53:36,213
{\an8}〈今日は何日？〉

482
00:53:37,464 --> 00:53:39,508
{\an8}〈今日は…〉

483
00:53:40,092 --> 00:53:43,303
{\an8}〈３月27日だ〉

484
00:53:44,263 --> 00:53:45,639
{\an8}〈２００４年〉

485
00:53:47,057 --> 00:53:51,895
{\an8}〈これは情報と
生体サンプルの収集〉

486
00:53:52,020 --> 00:53:56,150
{\an8}〈22世紀にクローンが
作れるようにね〉

487
00:54:03,198 --> 00:54:04,450
{\an8}こう思っていた

488
00:54:04,575 --> 00:54:09,329
{\an8}撮影は瞬間を
保存する手段なのだと

489
00:54:12,332 --> 00:54:17,629
{\an8}だが実際はガラスの裏の
過去を見ていただけ

490
00:54:17,963 --> 00:54:21,508
{\an8}テープに映る
時の影響を感じながら

491
00:54:30,267 --> 00:54:33,145
今ならその意味が分かる

492
00:54:34,438 --> 00:54:38,358
変わりゆく大切な人生を
握りしめ

493
00:54:38,734 --> 00:54:42,613
愛するものを　　　　　　
失わぬようにしていたのだ

494
00:54:54,249 --> 00:54:57,794
同じ思いが　　　　
そこかしこに見える

495
00:55:31,828 --> 00:55:35,332
アイスランド西部にある
“水の図書館〟

496
00:55:35,958 --> 00:55:39,211
氷河の解けた水を
保管している

497
00:56:16,498 --> 00:56:19,334
これはソゥリス氷河の水

498
00:56:21,253 --> 00:56:23,964
こちらはスナイフェルス
ヨークトル氷河

499
00:56:25,132 --> 00:56:30,178
オークヨークトル氷河が　　
消失する寸前に採取したもの

500
00:56:36,518 --> 00:56:42,733
水となった氷河は再び　　
悠久の時を旅するだけかも

501
00:56:47,237 --> 00:56:49,740
結局は同じ水なのだから

502
00:56:52,618 --> 00:56:55,537
氷として留めた記憶は——

503
00:56:57,289 --> 00:57:00,626
水となり失われるのか？

504
00:58:04,731 --> 00:58:07,901
氷河が消えていく
不穏な静けさに

505
00:58:08,026 --> 00:58:09,695
よく思いをはせる

506
00:58:20,664 --> 00:58:26,044
まるで夏がやってきて　　
そのまま居座っているよう

507
00:59:46,583 --> 00:59:50,212
君たちの海は　　　　　
私たちの氷河だろうか？

508
00:59:55,842 --> 00:59:58,804
その雨は我々の海だろうか？

509
01:00:07,896 --> 01:00:10,524
君たちの水は私の水

510
01:00:13,860 --> 01:00:17,322
君たちの時間は　
私の時間でもある

511
01:00:24,329 --> 01:00:29,543
祖父ヨウンの地平線は　　　
その祖父のものと同じだった

512
01:00:31,503 --> 01:00:33,964
その前の世代も同じ

513
01:00:51,648 --> 01:00:53,900
「ドリームランド」を
歌う祖父だ

514
01:00:54,025 --> 01:00:58,154
住んでいた海辺の平原を
たたえた歌

515
01:01:01,408 --> 01:01:04,828
〈ほら ここに〉

516
01:01:04,953 --> 01:01:09,624
〈私の夢見た土地がある〉

517
01:01:10,792 --> 01:01:15,839
祖父の家への愛は　　　　
その語り方にも表れていた

518
01:01:16,256 --> 01:01:19,509
ひと言で私を　　　　
その場所へ連れていく

519
01:01:22,846 --> 01:01:26,433
“フッグラブヤルグ〟　
という言葉を思い出す

520
01:01:26,558 --> 01:01:29,311
“鳥の崖〟という意味だ

521
01:01:55,754 --> 01:01:58,173
“騒々しい集まり〟の
意味もある

522
01:01:59,507 --> 01:02:01,843
両親の結婚式がそうだ

523
01:02:07,015 --> 01:02:11,394
“本当に騒がしくて(フッグラブヤルグ)　　　
何も聞こえなかった〟と

524
01:02:20,487 --> 01:02:26,493
だが祖父の知る鳥の崖は
もう私が知る崖とは違う

525
01:02:30,622 --> 01:02:32,415
〈海鳥たちは——〉

526
01:02:32,540 --> 01:02:36,836
〈気候変動に順応するのが
難しいようだ〉

527
01:02:37,837 --> 01:02:40,924
〈統計ではアイスランドの
パフィンが〉

528
01:02:41,049 --> 01:02:44,678
〈1995年から　　　　　
７割減少しています〉

529
01:02:45,762 --> 01:02:49,265
〈海水温の上昇が
主な原因です〉

530
01:02:59,109 --> 01:03:02,153
私にとって“騒音〟を
意味する言葉が

531
01:03:02,278 --> 01:03:05,365
君たちには　　　　　　
“静かな場所〟となるのか

532
01:03:08,743 --> 01:03:13,081
きっとフッグラブヤルグは
幽霊語になるのだろう

533
01:03:14,124 --> 01:03:19,671
もう存在しない鳥の記憶を
呼び起こす言葉になるのだ

534
01:03:25,218 --> 01:03:28,221
アイスランドという名を思う

535
01:03:31,266 --> 01:03:37,522
200年もすれば この国の名も
亡霊を呼ぶ言葉になるのか

536
01:04:02,130 --> 01:04:04,049
〈あなたのパパが撮ってる〉

537
01:04:04,174 --> 01:04:05,258
〈そうね〉

538
01:04:05,633 --> 01:04:06,801
〈どうして？〉

539
01:04:07,177 --> 01:04:11,598
〈11歳の子がケーキを
食べるのが珍しい？〉

540
01:04:12,223 --> 01:04:13,516
〈アイスも〉

541
01:04:13,641 --> 01:04:14,684
〈アイスもね〉

542
01:04:15,185 --> 01:04:16,686
〈どう思う？〉

543
01:04:28,615 --> 01:04:32,660
2019年のフルダの誕生日から
間もなく

544
01:04:32,786 --> 01:04:36,998
オークヨークトル氷河の
追悼文を依頼された

545
01:04:37,123 --> 01:04:39,125
氷河の葬式のためだ

546
01:04:41,294 --> 01:04:46,549
その文を銅板に刻み　　　
氷河があった山に置くのだ

547
01:04:48,843 --> 01:04:52,806
物書きにとって光栄であり
悪夢の役目ね

548
01:04:53,056 --> 01:04:54,849
４行あるわ

549
01:04:55,433 --> 01:04:58,353
書くのは責任が重いわね

550
01:04:58,812 --> 01:05:00,605
銅板だからね

551
01:05:00,730 --> 01:05:05,860
間違えても
消去ボタンでは消せない

552
01:05:07,487 --> 01:05:11,783
墓碑を作るのと似た気分だね

553
01:05:12,325 --> 01:05:15,370
数百年後の人も読むかも

554
01:05:16,162 --> 01:05:20,250
銅は石より持つから
6000年後も残ってるかな

555
01:05:25,630 --> 01:05:27,632
私は途方に暮れた

556
01:05:39,185 --> 01:05:42,689
以前にも土地が　　
壊れる様子を書いた

557
01:05:42,814 --> 01:05:45,483
“中止を！〟

558
01:05:46,901 --> 01:05:48,778
{\an8}“重工業を止めて〟

559
01:05:47,652 --> 01:05:49,320
住民を呼び寄せ

560
01:05:49,445 --> 01:05:53,950
氷河の流れを止めるダムの
建設中止を訴えた

561
01:06:01,958 --> 01:06:05,670
川の源が消えるなど
夢にも思わずに

562
01:06:07,297 --> 01:06:10,258
今回は　　　　　　　　　　
地元の電力会社ではなく——

563
01:06:10,967 --> 01:06:13,595
電力への世界の渇望が原因だ

564
01:06:22,395 --> 01:06:25,690
氷河への追悼文など
書いたことがない

565
01:06:26,107 --> 01:06:27,525
人類初だろう

566
01:06:33,615 --> 01:06:38,411
失うなど思いもしないものに
どう別れを告げる？

567
01:06:46,920 --> 01:06:51,925
祖父アルトニの死後 彼の 
追悼記事をひたすら書いた

568
01:07:01,392 --> 01:07:04,020
“祖父というのは——〟

569
01:07:04,145 --> 01:07:08,858
“何事も熟達しないと
気が済まない人だ〟

570
01:07:05,563 --> 01:07:07,273
書ききれなかった

571
01:07:08,983 --> 01:07:10,902
“氷河研究会　　　　
創設期のリーダー〟

572
01:07:11,027 --> 01:07:12,695
“卓越したリーダー〟

573
01:07:12,820 --> 01:07:14,072
“写真家〟

574
01:07:14,197 --> 01:07:16,616
“12歳で父を亡くした〟

575
01:07:16,741 --> 01:07:20,662
“世界に実力を示したい
少年が心にいたのか〟

576
01:07:19,953 --> 01:07:22,580
{\an8}これほど近くに
感じるのに——

577
01:07:23,331 --> 01:07:25,375
{\an8}祖父はもういない

578
01:07:24,540 --> 01:07:28,962
“祖母のフルダに出会えて
幸運だった〟

579
01:07:29,087 --> 01:07:33,007
“彼らは夜通し踊っていた〟

580
01:07:33,132 --> 01:07:35,593
“ヴァトナ　　　　　
ヨークトル探索へ〟

581
01:07:35,718 --> 01:07:39,430
“猛烈な嵐の中 何日も 
２人用テントにいた〟

582
01:07:39,555 --> 01:07:42,058
“バゥルザルブンガ
という場所だ〟

583
01:07:42,183 --> 01:07:44,811
“花いっぱいの庭〟

584
01:07:45,937 --> 01:07:51,818
お別れを言うことで　　　
祖父の思い出が生き続けた

585
01:08:03,204 --> 01:08:05,915
祖父アルトニは長生きだった

586
01:08:06,833 --> 01:08:08,751
めでたいことだ

587
01:08:12,547 --> 01:08:16,592
オークヨークトル氷河の　　
消滅は我々のせいで早まった

588
01:08:18,803 --> 01:08:21,097
何も めでたくない

589
01:08:25,476 --> 01:08:31,232
こんなにも大きな損失を
未来にどう伝えるのだ？

590
01:08:48,583 --> 01:08:52,337
氷河の消失は　　　　　
独立した出来事ではない

591
01:08:53,504 --> 01:08:58,426
相互に繋がる世界中のものを
危うくするものだ

592
01:09:00,470 --> 01:09:01,888
ビーチも

593
01:09:03,848 --> 01:09:05,266
森も

594
01:09:06,976 --> 01:09:08,561
季節も

595
01:09:10,396 --> 01:09:12,148
愛する者たちも

596
01:09:16,235 --> 01:09:17,820
言語も

597
01:09:28,206 --> 01:09:31,292
この規模の　　　　　
大変動が起きると——

598
01:09:32,835 --> 01:09:36,339
神話でなくては　
語れないと感じる

599
01:09:38,549 --> 01:09:43,846
我々の伝承では 世界は
氷に生まれ 海で終わる

600
01:09:44,931 --> 01:09:46,974
海獣たちによって

601
01:09:53,731 --> 01:09:56,150
ミズガルズの大蛇

602
01:09:55,024 --> 01:09:58,236
{\an8}“ヨルムンガンド〟

603
01:09:59,487 --> 01:10:02,115
彼は海であり惑星そのもの

604
01:10:03,449 --> 01:10:06,077
{\an8}「エッダ」

605
01:10:05,201 --> 01:10:09,080
“エッダ〟ではソールが
大蛇を倒そうとする

606
01:10:15,545 --> 01:10:20,258
しかし とどめを刺す瞬間に
大蛇がソールを殺した

607
01:10:23,928 --> 01:10:28,516
海面が上昇し　　　　　
大蛇の毒が海に広がった

608
01:10:31,769 --> 01:10:36,149
彼らの相討ちが　　　　
すべての神々の死を招き

609
01:10:36,524 --> 01:10:40,027
万物の破滅へと
つながったのだ

610
01:10:52,290 --> 01:10:56,169
失ったものの大きさを　
未来に伝えたくとも——

611
01:10:56,586 --> 01:10:59,714
その未来が　　　　
存在しなかったら？

612
01:11:36,626 --> 01:11:38,669
〈ここを見て　もう少し〉

613
01:11:39,921 --> 01:11:42,089
〈違う　そのままで〉

614
01:11:42,215 --> 01:11:45,134
〈ライトが消えたら
スタートさせて〉

615
01:11:45,259 --> 01:11:46,177
〈今だ〉

616
01:11:56,938 --> 01:11:58,523
〈クリアしろ〉

617
01:11:59,273 --> 01:12:01,275
〈よし　いいぞ〉

618
01:12:02,109 --> 01:12:03,444
〈攻めろ〉

619
01:12:33,766 --> 01:12:35,518
この歌を贈ろう

620
01:12:36,435 --> 01:12:39,689
時を旅させてくれる叙事詩(リーマ)だ

621
01:12:41,941 --> 01:12:45,778
韻のパターンにより　
長い物語を記憶できる

622
01:12:45,903 --> 01:12:49,073
録音技術以前からの知恵だ

623
01:12:50,575 --> 01:12:55,746
〈女性たちは祖母から
不思議な詩を習い〉

624
01:12:55,872 --> 01:13:01,043
〈その祖母たちもまた
代々 祖母たちから学ぶ〉

625
01:13:01,377 --> 01:13:06,716
〈それを思うと時間が縮んで
無くなる気分だよ〉

626
01:13:43,461 --> 01:13:47,506
歌は祖先の物語を　
何世紀も伝えてきた

627
01:13:48,382 --> 01:13:52,678
すべての節が　　　　　
過去を生かし続ける器だ

628
01:13:57,183 --> 01:13:59,644
世代間の記憶こそが

629
01:13:59,769 --> 01:14:04,482
人類が時間の深さを知る
一番の近道かもしれない

630
01:14:17,745 --> 01:14:22,875
〈ハッピーバースデー 　　
フルダ･フィリッピア〉

631
01:14:23,000 --> 01:14:26,379
〈今日が誕生日だ〉

632
01:14:29,840 --> 01:14:31,133
〈おばあちゃん〉

633
01:14:42,228 --> 01:14:44,146
〈新婚旅行は？〉

634
01:14:44,271 --> 01:14:47,858
〈楽しかったけど
大変だった〉

635
01:14:49,068 --> 01:14:52,279
〈氷河の上で
あらゆる天候を経験した〉

636
01:14:52,405 --> 01:14:53,364
〈へえ〉

637
01:14:54,115 --> 01:14:55,908
〈３週間いたの〉

638
01:14:56,033 --> 01:14:57,118
〈３週間も？〉

639
01:14:57,243 --> 01:14:58,786
〈氷河の上にね〉

640
01:14:58,911 --> 01:15:01,664
〈すごい　長期間だね〉

641
01:15:02,331 --> 01:15:04,375
〈楽しかった〉

642
01:15:08,671 --> 01:15:13,759
〈あとどのくらいで
96歳になるか聞いて〉

643
01:15:15,761 --> 01:15:20,307
〈あなたが96歳になる時期を
計算して〉

644
01:15:20,433 --> 01:15:21,600
〈分かった〉

645
01:15:23,936 --> 01:15:28,149
〈録画されてなかった
もう一度やろう〉

646
01:15:31,277 --> 01:15:32,319
〈まったく〉

647
01:15:36,157 --> 01:15:37,533
〈また言うの？〉

648
01:15:37,658 --> 01:15:39,076
〈質問して〉

649
01:15:39,201 --> 01:15:41,746
〈いつ96歳になるの？〉

650
01:15:50,379 --> 01:15:51,172
〈2104年〉

651
01:15:51,297 --> 01:15:52,631
〈104！〉

652
01:15:52,757 --> 01:15:53,841
〈そう〉

653
01:15:54,383 --> 01:15:58,095
〈何が起きるか分かれば
楽しいのに〉

654
01:15:58,220 --> 01:15:59,388
〈そうだね〉

655
01:16:03,100 --> 01:16:05,519
2104年

656
01:16:07,688 --> 01:16:09,356
こう考えると

657
01:16:09,523 --> 01:16:14,028
自分の死んだ後の未来が
鮮明になってくる

658
01:16:16,822 --> 01:16:20,284
自分の娘に孫ができてるかも

659
01:16:20,493 --> 01:16:24,121
そして私の祖母の記憶も
共に生きてる

660
01:16:25,539 --> 01:16:27,124
私は時間に触れる

661
01:16:27,291 --> 01:16:31,587
祖母フルダの誕生した
1924年から手を伸ばし

662
01:16:31,712 --> 01:16:37,468
はるか2104年へと 君たちが
いるかもしれない時代まで

663
01:16:38,844 --> 01:16:41,847
まるで世代間の握手だ

664
01:16:54,735 --> 01:16:58,823
この撮影時には　　　　　　
フルダとの別れが近づいてた

665
01:17:02,743 --> 01:17:06,163
間もなく亡くなったからだ

666
01:17:08,624 --> 01:17:11,919
私の一族の　　　　
世代交代の時だった

667
01:17:13,129 --> 01:17:17,633
しかし時々　　　　　　　　
私は彼ら全員にまた会うのだ

668
01:17:19,593 --> 01:17:24,014
祖父ヨウンに光が　　
当たる様子も見られる

669
01:17:31,272 --> 01:17:32,523
祖父アルトニも

670
01:17:40,030 --> 01:17:40,990
ディーサも

671
01:17:41,115 --> 01:17:42,700
〈おばあちゃん〉

672
01:17:49,331 --> 01:17:54,128
{\an8}〈その時 気づいたよ
人間も花も同じだと〉

673
01:17:55,629 --> 01:18:01,010
{\an8}〈どちらもしぼんで
綿毛になるんだ〉

674
01:18:01,135 --> 01:18:03,888
{\an8}〈そして種を飛ばす〉

675
01:18:04,180 --> 01:18:08,851
{\an8}〈そして根からは
新たな命が芽吹く〉

676
01:18:14,857 --> 01:18:20,154
葬儀はあまり記録せず　　
短い映像をいくつか残した

677
01:18:21,780 --> 01:18:24,158
〈姿を見られてよかった〉

678
01:19:00,861 --> 01:19:02,238
〈その上着は？〉

679
01:19:02,363 --> 01:19:03,864
〈おじいちゃんの〉

680
01:19:04,198 --> 01:19:05,157
〈いいね〉

681
01:19:05,282 --> 01:19:06,659
〈平原の上着だ〉

682
01:19:12,206 --> 01:19:13,207
〈頑張って〉

683
01:19:27,972 --> 01:19:32,226
人生の中にも　　　　　　　
韻があることを知ってほしい

684
01:19:36,105 --> 01:19:38,649
葬儀は日没に息づき

685
01:19:43,070 --> 01:19:45,281
誕生日は日の出に

686
01:19:51,954 --> 01:19:53,998
結婚式は仲間の生き物に

687
01:20:01,630 --> 01:20:04,842
夏の移住は小川の中に

688
01:20:09,346 --> 01:20:11,640
収穫は氾濫原(はんらんげん)に

689
01:20:13,934 --> 01:20:19,064
いつだって自然は　　　　　
我々の周囲に記録を刻んでる

690
01:20:21,191 --> 01:20:24,570
この時間と水の循環の中で

691
01:20:24,820 --> 01:20:30,617
私はすべての祖先と子孫と　
直接つながっていると感じる

692
01:20:50,971 --> 01:20:55,601
しかし我々の時代は
前代未聞なものだ

693
01:22:13,679 --> 01:22:18,559
〈白鳥の歌の歌い手たちは〉

694
01:22:18,684 --> 01:22:23,730
〈時の力でねじ伏せられた〉

695
01:22:24,231 --> 01:22:29,528
〈新たな時代が私たちの〉

696
01:22:29,653 --> 01:22:34,867
〈韻の足跡を　　　　　
消してしまった〉

697
01:22:35,951 --> 01:22:41,832
〈私たちの母語の　　　　　
韻文を絶やすことなく〉

698
01:22:41,957 --> 01:22:48,005
〈つないでいく道は　　　
ただ一つ〉

699
01:22:49,214 --> 01:22:56,221
〈子供たちの口に　　　　
伝えていくことだ〉

700
01:23:05,522 --> 01:23:06,732
〈見てごらん〉

701
01:23:07,983 --> 01:23:12,404
息子を寝かしつけていた
このリーマは挽歌(ばんか)だ

702
01:23:13,780 --> 01:23:17,659
歌い手が大切にしたものへの
別れの言葉

703
01:23:20,037 --> 01:23:24,500
今あるものを大切にせよと
聞き手に訴える

704
01:23:33,509 --> 01:23:38,680
彼女には 絶望的に思えた
未来へ その嘆きは届いた

705
01:23:40,516 --> 01:23:42,518
私の元へと

706
01:24:18,679 --> 01:24:22,432
プレートに刻む追悼文を
書く栄誉を賜ったが

707
01:24:22,558 --> 01:24:28,647
紙より丈夫な銅に書くのは
作家にとって不思議な気分だ

708
01:24:28,772 --> 01:24:30,857
岩より長く残るかも

709
01:24:33,777 --> 01:24:36,029
自省的な言葉だが

710
01:24:36,154 --> 01:24:39,408
遠い未来への言葉でもある

711
01:24:39,700 --> 01:24:43,620
ここへ来た人たちは
地平線を見つつ——

712
01:24:43,745 --> 01:24:48,375
我々が刻んだプレートの
言葉を見ることになる

713
01:24:48,500 --> 01:24:52,671
何が起きているか
我々は自覚しているし

714
01:24:52,921 --> 01:24:55,382
何をすべきかも分かる

715
01:24:55,507 --> 01:24:59,219
我々が時代の困難に
立ち向かったかは

716
01:24:59,344 --> 01:25:02,598
これを読む人が知るだろう

717
01:25:16,862 --> 01:25:18,113
{\an8}“未来への手紙〟

718
01:25:18,238 --> 01:25:21,491
{\an8}“最初にオクが
氷河ではなくなり〟

719
01:25:21,617 --> 01:25:25,370
{\an8}“すべての氷河も
あと２００年で消滅〟

720
01:25:25,495 --> 01:25:27,706
{\an8}“この碑文は我々が〟

721
01:25:27,831 --> 01:25:31,501
{\an8}“何をすべきか
気づいていた証しだ〟

722
01:25:31,627 --> 01:25:33,754
{\an8}“結果は
君たちだけが知る〟

723
01:25:35,380 --> 01:25:41,637
かつて氷があった場所に立ち
渓谷を挟んで隣の山を眺めた

724
01:25:44,264 --> 01:25:48,852
今はまだ氷河と呼べる
厚い氷の一帯が

725
01:25:49,311 --> 01:25:52,147
徐々に斜面を下りてきていた

726
01:26:28,141 --> 01:26:29,434
〈何してる？〉

727
01:26:32,270 --> 01:26:32,979
〈ピンぼけ〉

728
01:26:33,105 --> 01:26:34,981
〈分かってる〉

729
01:26:35,732 --> 01:26:38,485
〈自動で合わないの？〉

730
01:26:39,569 --> 01:26:44,157
フルダの生前 子供たちが
カメラを使い始めた

731
01:26:45,826 --> 01:26:50,038
私たちは よくフルダの
庭仕事を手伝った

732
01:26:50,163 --> 01:26:51,206
〈いくよ〉

733
01:26:57,504 --> 01:26:59,089
〈時間をどう思う？〉

734
01:26:59,589 --> 01:27:00,257
〈時間？〉

735
01:27:00,382 --> 01:27:01,049
〈そう〉

736
01:27:01,174 --> 01:27:03,969
〈時は早く過ぎる〉

737
01:27:07,347 --> 01:27:09,266
〈やることは多い〉

738
01:27:14,396 --> 01:27:16,690
〈寂しくはないわ〉

739
01:27:18,567 --> 01:27:20,777
〈よく話しかけちゃうの〉

740
01:27:20,902 --> 01:27:26,283
〈夫がまだ隣のイスに
座ってる気がしてね〉

741
01:27:28,368 --> 01:27:31,246
〈楽しい人生だった〉

742
01:27:31,830 --> 01:27:34,291
〈思い出はいいものよ〉

743
01:27:41,173 --> 01:27:45,010
〈４月になり
氷河の香りがすると——〉

744
01:27:45,927 --> 01:27:48,138
〈行くのが楽しみでね〉

745
01:27:49,890 --> 01:27:52,976
〈でももう長いこと
行ってない〉

746
01:27:55,061 --> 01:27:59,149
〈上まで行くには
飛行機がいるものね〉

747
01:28:29,971 --> 01:28:32,599
氷河を送ることは
できないが——

748
01:28:35,227 --> 01:28:37,562
代わりにこれを届けよう

749
01:28:42,442 --> 01:28:46,488
氷河が残っていた時代への
“扉〟を——

750
01:28:47,280 --> 01:28:50,575
氷河が残る可能性と共に
開いておく

751
01:28:53,411 --> 01:28:57,707
どう受け取ってくれたかを
知れたらいいが——

752
01:29:00,460 --> 01:29:03,213
時が経たなければ分からない

753
01:32:58,031 --> 01:33:00,033
日本語字幕　森澤 海郎

